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寒天 (「あんみつ」について考える・・・1)

「みつ豆」に餡をのせた
「あんみつ」について考えてみました。

120215月ヶ瀬高島屋店③.JPG
~ 昭和元 (1926)年に京都・河原町で創業した 「甘党の月ヶ瀬」の 「あんみつ」です。2012年2月15日 (水曜日)に甘味処 「月ヶ瀬 高島屋店」で撮った写真です。

「みつ豆」は、
東京・浅草の 「舟和」が考案したもの、
「あんみつ」は、
東京・銀座の 「若松」が考案したもの、
というのが定説のようです。

中山圭子・著 「事典 和菓子の世界」に
次の記載があります。

甘味処の看板商品、あんみつの歴史は、ゆでた赤えんどうと新粉餅に蜜をかけたみつ豆に始まる。みつ豆は江戸時代末期より屋台で売られており、それを東京浅草の舟和 (ふなわ) が改良、明治35 (1902)年頃に販売したという。 ・・・略・・・  その後、関東大震災 (1923年)後の復興の気運のなかで、銀座の若松がみつ豆に餡 (あん) をのせたあんみつを創案し、売り出したという。 (同書16ページから引用しました)


事典 和菓子の世界

事典 和菓子の世界

  • 作者: 中山 圭子
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2006/02/24
  • メディア: 単行本


東京・浅草の 「舟和」 (株式会社舟和本店)の
ホームページに載っている 「舟和の歴史」を参照すると、
「舟和」が 「みつ豆」を考案して売り出したのは
明治36 (1903)年のことだそうです。

一方、
東京・銀座の 「若松」が入店している
「ファッションビル 銀座コア」のホームページを参照すると、
明治27 (1894)年創業の 「若松」が 「あんみつ」を考案したのは、
昭和5 (1930)年となっています。

さて、
「あんみつ」に使用されている原材料は
餡 (小豆) 、蜜 (砂糖)、そして寒天などで、
まさしく和菓子です。

この3つの原材料の中で
私がもっとも関心があるのは、
和菓子用原材料の中で脇役的な存在の
寒天です。

虎屋文庫 (株式会社虎屋)が発行した
「和菓子原材料展 『寒天ものがたり』」 (1999年5月発行)などを参照すると、
寒天は次のように分類できるそうです。

 ① 自然寒天 (自然の凍結乾燥によって作られる)
  ・角寒天 (棒寒天) → 家庭料理などに使われる
  ・糸寒天 (細寒天) → 主に和菓子の原材料として使われる

 ② 工業寒天 (工業的に年間を通して製造される)
  ・粉寒天

糸寒天 (細寒天)の産地として同書は、
岐阜県恵那郡山岡町 (現在の恵那市山岡町)を取り上げています。

恵那市山岡町は
細寒天の産地として知られ、
「山岡細寒天」は
地域団体商標 (地域ブランド)として
商標登録 (第5008729号)されています。

120118山岡産細寒天.JPG
~ 岐阜県寒天水産協同組合が販売する 「山岡細寒天」です。

では、
天草などの海藻を原料として作られる
水産加工品の寒天は、
夜の冷え込みが厳しく、
かつ昼はカラッと晴れる恵那市山岡町で
どのようにして作られているのでしょうか。

前出書などを参照すると、
次の工程により寒天は作られるそうです。

 ①水浸・洗浄 → ②煮熟 (しゃじゅく)  → 
 ③濾過・凝固 (ところてんの出来上がり) → ④切断・突出 → 
 ⑤凍てとり → ⑥凍結乾燥 → ⑦製品・検品・出荷

120126道の駅山岡③、ところてん突き器.JPG
~ 道の駅 「おばちゃん市・山岡」に展示されていた 「ところてん突き器」です。2012年1月26日 (木曜日)に撮った写真です。凝固したところてんを羊かんの形に切断し、突き器で突き出し、よしずの上へ並べます。

120126恵那山岡、寒天③.JPG
~ 恵那市山岡町の寒天干し風景です。2012年1月26日 (木曜日)に撮った写真です。よしずの上に並んでいる白く見えるものが糸寒天 (細寒天)です。

前出の
「和菓子原材料展 『寒天ものがたり』」を参照すると、
虎屋は「山岡細寒天」を使用しているそうです (*注①)。

(*注①)
 同書は1999年発行なので、虎屋が現在も 「山岡細寒天」を
 使用しているかどうかはわかりません。

120130京都一条菓寮③、あんみつ.JPG
~ 虎屋が運営する 「虎屋菓寮 京都一条店」で2012年1月30日 (月曜日)に撮った写真です。虎屋らしい 「あんみつ」ですね。

寒天は
第二次世界大戦前、
日本の一大輸出品だったそうです。



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